夫に離婚を何度切り出しても、うまくはぐらかされたり、真剣に聞いてくれなかったり、話し合うこと自体を避けられていたり、夫が同じ土俵に立とうとしない状況は想定されることです。
男性にとって、ステイタスは重要。
会社の中で「〇〇さんが離婚した」ということが同僚や部下に知られることなど、ステイタスを特に大事にしている男性からすれば、ゼッタイに避けたいことです。
ここでは、離婚したいのに夫がしてくれない場合の対応の仕方について、ご説明しましょう。
離婚したいのにして夫がしてくれない理由
夫が離婚を拒んでいる場合、理由は1つだけとは限らず、いくつかの理由が組み合わさっていることもあります。考えられるそれぞれの理由についてご説明します。
①世間の評価を気にしている
近年、離婚が増えて離婚に対する考え方もどんどん変化していますが、世間ではまだネガティブに捉えられることが多いです。職場や身内、友人などからの信用が下がり、余計な詮索をされるなど、他人から低く評価されることを恐れて離婚を拒んでいる場合があります。
〜男性にとって、仕事や社会的地位などのステイタスは人生の重要なテーマであることが多く、説得が最も難しいケースです。
②あなたへの愛情がありまだやり直せると思っている
一般に、妻から別れを切り出した場合、夫への愛情が元に戻る可能性は低いと言われています。妻への愛情はあるが、日頃から妻の気持ちに配慮することができていない夫は、妻の気持ちがとっくに冷めていることに気づかず、「まだやり直せる」と軽く考えている場合があります。
〜妻の気持ちや本気度を受け止められず、まともに向き合おうとしない夫の心理は、女性には分かりにくいですが、そもそも人の気持ちを理解する想像力が欠けていて、結婚生活には向いていないのかもしれません。
③離婚したい理由が分からない
夫の家族との関係に悩んでいたり、夫が家事や育児に協力しないなど、離婚したい理由を説明しても、妻にとっては大きな問題が、夫から見るとささいなことにしか思えない場合があります。夫は妻がなぜ離婚したいのか、なかなか納得できません。
〜夫に納得してもらうように、離婚を望んでいる気持ちが、真剣で切実であることをしっかり伝えることが大切です。
④お金を払いたくない
離婚の際、婚姻中の夫婦の共有財産を均等に分け合う財産分与が必要となり、夫に対して、養育費や慰謝料を請求する場合もあります。そのため、妻に財産を渡したくない、お金を払いたくない、という夫は離婚を拒否する場合があります。
~夫が経済的な不安を抱えていたり、経済力があっても心理的な余裕がない場合、自分が損をすると感じることから、離婚に応じられないケースです。
⑤子どもと別れたくない
未成年の子どもを持つ夫婦が離婚した場合、親権は母親が持つことが多く、父親は子どもと一緒に暮らせなくなり、子どもと頻繁に会うことが難しくなります。子どもと別れるのが辛い、と感じる夫はなかなか離婚に応じられません。
〜親の都合ばかりを優先せずに、子どもの心や将来についての考えに相違がないように、真剣に話し合うことが大切です。
離婚を納得させる言葉
離婚の話し合いをする際、感情的になって夫を否定したり、責めたりすると、ただの夫婦げんかに終わる可能性があります。
冷静に話し合いを進め、こちらの言い分を理解してもらうためには、どんな言葉で伝えたらよいでしょうか。ケース別に例文をご紹介します。
①夫が世間体を気にしている場合
「あなたは社会で認められています。あなたが悪いわけではないので、離婚しても今まで通りに活躍できます。」
離婚は世間体が悪い、離婚すれば自分が負けて損をする、と感じる夫に対しては、一歩引いて、相手を尊重する言葉をかけると効果的です。夫の自尊心を満たすことで夫の心の壁を取り払い、離婚に向けた話し合いが進む可能性があります。
「絶対に離婚します。離婚しないなら家を出ます。」
これまで、夫に折れて歩み寄ってきた人は、思い切って強い態度を示すことで、本気度が伝わる場合があります。相手に有無を言わせない迫力で自分の意見を伝えたり、別居の意志を伝えたりすると、夫が驚いて真剣に離婚を考え始めるきっかけになる可能性があります。
②妻に愛情がありまだやり直せると思っている場合
「もうあなたのことは愛していません。一緒にやっていくのは無理です。」
まず夫への思いを正直に伝えましょう。愛情がなくなった理由をしっかり説明し、愛情はもう戻らないことや、離婚の意志は固く、今後やり直すつもりはないことをきっぱりと伝えることが大切です。
③妻の離婚したい理由が分からない場合
「あなたの家族のことでずっと苦しい思いをしてきました。真剣に考えたけど、もう耐えられません。」
離婚したい理由を夫が納得してくれるまで、時間をかけて話し合うことが大切です。「もう、嫌、無理!」などと、感情的な言葉を投げかけるだけでは、夫は困惑し、ますます離婚したい理由が分からなくなります。なぜ離婚したいのかを、論理的に説明しましょう。
また、夫が「法律上の離婚原因」についてすでに知っており、それにあてはまらないため、離婚の理由にならないと考えているケースがあります。
しかし、協議離婚の場合、法律上の離婚原因がなくても離婚が可能です。その場合の離婚手続きについてよく調べておき、そのことを夫に説明してください。
④夫がお金を払いたくないと思っている場合
「離婚してもお互いにお金に困らないようにできることはします。」
経済的な不安があり、離婚をためらっている夫とは、離婚後の生活に困らないように、財産分与や養育費、慰謝料などについて、しっかり話し合いましょう。離婚後の金銭に関する約束事は、「離婚協議書」にまとめ公正証書として残しておくと、お互いに安心できます。
⑤夫が子どもと別れたくないと思っている場合
「離婚後の子どものことは心配しなくても大丈夫です。」
子どもと別れたくない、離婚後の子供のことが心配という理由で離婚に応じない夫には、
離婚後も面会交流で子どもと定期的に会えること、母子家庭は公的な支援もあるので、生きて行けないという心配はしなくてよいことを伝えましょう。
離婚後の生活費などについて具体的な数字を示して説明することで、夫が安心し、納得する可能性が高くなります。
・フルタイムで働いた場合の月収は〇〇円
・自治体の支援を利用できるので家賃は〇〇円で済む
・子どもの保育料は無償化の対象になるため0円
・学資保険に加入しているため進学に向けた準備は整っている。など。
夫が支払う養育費も頼りにしていることを伝え、話し合いで金額をきちんと決めておくことが必要です。
☆心理学では、美味しい食事を共にしながら相手と交渉する「ランチョンテクニック」を使うと、相手が説得を受け入れやすくなる、と言われています。
アルコールは感情的になりやすいため、避けた方が良いですが、落ち着いた環境で食事をしながら離婚の話を切り出すと、話し合いがスムーズに進む場合があります。
~なかなかそういう場面を作ることも難しいことはありますが。
離婚したいのに夫がしてくれない時の方法
話し合いで夫が納得せず、離婚に同意してくれない時にすべき4つの方法をご紹介します。
①別居する
説得しても夫が離婚に応じてくれない場合、とりあえず別居する、という方法があります。
専業主婦で収入がないなどの場合、法律上、夫は別居中の妻に対して「婚姻費用」として生活費を支払う義務があります。
もし夫が支払いを拒否しても、妻が申し立てをすれば、婚姻費用を支払わなければなりません。支払いの義務は再び同居するか離婚するまで続き、高額な支払いで夫の負担は大きくなります。婚姻費用の支払いを止めるには離婚するしかないため、離婚を促す効果があります。
また、別居が長期間に及んだ場合、法律上の離婚事由にあてはまるため、それだけで裁判で
離婚が認められる可能性があります。
〜そもそも、夫と一緒にいたくないから離婚を望むのですから、さっさと家を出れば、一人の時間が持てるようになりより冷静に離婚の計画が立てられます。まずは別居から始めて見るのがオススメです。
②離婚調停の申し立てをする
別居などの方法をとっても、夫が離婚に応じない場合、離婚調停の申し立てをして、話し合いの場を家庭内から家庭裁判所に移す方法です。調停を申し立てることで、離婚の意志が真剣なことを夫に示すことができます。
第三者である調停員を通した話し合いは、客観的で説得力があります。男性は、感情よりも論理を重視することが多いため、夫の気持ちを離婚に向けて動かすのに効果的です。
〜調停に向けては、書類や資料、調停員に話す内容の整理など、様々な準備が必要です。夫の不倫などが離婚原因の場合は、証拠となるものを集めておくと優位になる可能性があります。
③離婚訴訟を起こす
調停を通じても、離婚が成立しない場合、裁判所に離婚の訴訟を起こす方法です。この段階では、夫の離婚に対する意思は問題にされません。裁判官が法律に基づく離婚事由(法廷離婚事由)があると判断した場合、判決により夫婦は離婚となります。
法律(民法)上で離婚原因と認められているのは、次の5つの事情です。
・不貞があったとき(不倫)
・悪意で遺棄されたとき(生活費の不払いや家出など)
・生死が3年以上明らかでない時
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない時
・その他婚姻関係を継続しがたい重大な事由がある時(DVやモラハラ、長期間の別居など)
自分たちのケースがこれらの離婚原因にあてはまれば、離婚訴訟に踏み切るべきですが、あてはまらない場合は、訴訟を起こしても棄却される可能性が高いです。その場合、しばらく時間をおき、再度話し合いを行うか、あらためて調停を申し立てることをおすすめします。
④弁護士に相談する
自分たちだけの話し合いでは、離婚に応じてもらうのは無理、と感じた場合、弁護士に離婚の交渉を依頼する方法もあります。
夫に直接会わなくても、弁護士が法律に則って話し合いを進め、離婚の条件を整理して伝えてくれます。弁護士を立てることで夫に本気度が伝わり、弁護士による対応が夫に心理的なプレッシャーを与える効果もあります。
まとめ
離婚したいからと言って、感情的に夫に不満をぶつけるだけでは、夫は納得できず離婚してくれません。
夫の性格や社会的な立場を考慮し、財産分与や慰謝料、養育費など離婚後の金銭的な問題についてもよく調べた上で、論理的に夫を説得できるようにすれば、成功率は高くなります。
それでも夫が離婚に応じない場合は、とりあえず別居する、離婚調停を申し立てる、などの対策を検討しましょう。
gd2md-html: xyzzy Sun Jul 21 2024
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