離婚で苗字を変えない割合はどのくらい?メリットとデメリットも!

女性が離婚しても苗字を変えない人もいますね。実際は変えていて元の苗字をそのまま通称として使用している人もいれば、本当に変えていない人も。

何か違いはあるのでしょうか。

ここでは、戸籍上、苗字を変える場合と変えない場合のメリット・デメリットや手続き関係のことについて調べてみました。

離婚で苗字を変えない割合

令和4年の厚生労働省「人口動態調査」によると、この年に結婚した504,930組の夫婦のうち、478,199組の夫婦が夫の姓を名乗っており、結婚した夫婦のうち約95%は女性が苗字を変えています。

しかし、離婚後に苗字を変えない女性の割合については、政府や公共団体などの公的なデータはありませんでした。

婚姻総数 夫の姓 妻の姓
令和4年(2022) 504,930 478,199(94.7%) 26,731(5.3%)

参考:厚生労働省 令和4年「人口動態統計」

民間のアンケート結果によると、離婚後に苗字を変えない女性は約35%、という結果がありますが、身近な周囲の状況からも、離婚後に苗字を変えない女性は、10人のうち大体3〜4人と感じています。

〜民間のアンケートによれば、女性が苗字を変えない理由として最も多いのは、子どもの生活に影響を与えたくない、というものでした。母親としての強い責任感を示していますね。

離婚で苗字を変えないor変えるメリットデメリット

結婚するときに苗字を変えた場合、離婚後に、婚姻中の姓と旧姓のどちらを名乗るかを選ぶ必要があります。

原則として特に何もしなければ旧姓に戻りますが、婚姻中の苗字をそのまま名乗り続ける場合は、手続きをする必要があります。

離婚後に苗字を変えるか迷っている方のために、苗字を変えない(婚姻中の苗字のまま)場合と、変える(旧姓に戻る)場合それぞれのメリットとデメリットを詳しくご紹介します。

離婚で苗字を変えないメリットとデメリット

ここでは、離婚で苗字を変えない(婚姻中の苗字のまま)場合のメリットとデメリットを見ていきます。

①変えないメリット

苗字変更の手続きをする手間がかからない

結婚したときも必要だった、マイナンバーカード、クレジットカード、運転免許証などの、氏名変更手続きの手間がかかりません。離婚後に苗字を変えない場合、しなければならないのは、離婚後3カ月以内の「婚氏続称」の手続きだけです。

離婚の事実を周囲に知られない

苗字を変えなければ、離婚の事実が周囲に知られることはありません。伝えるべき人以外の周囲の人に憶測されたり、噂されたりするのを避けることができます。子どもがいる場合も、子どもが学校で何か言われて辛い思いをするのを防ぐことができます。

離婚による精神的なダメージを抑えられ、日常生活を今まで通りに送れるメリットがあります。

仕事で定着した名前や実績を引き継げる

職場や取引先で定着している婚姻中の苗字をそのまま使い続けられるため、名刺を作り直したり、改めて新しい名前を覚えてもらう手間がかかりません。

メディアやインターネット、学術などの分野で、婚姻中の苗字で実績を築いてきた場合、離婚後に新しい苗字を名乗ると、それまでの実績を失う可能性があります。苗字を変えなければ、婚姻中の実績をそのまま引き継いで活動を続けることができます。

子どもが辛い思いをしない

離婚すると、子どもの苗字は元夫の苗字と同じままになります。離婚後に母親が苗字を変えてしまうと、子どもと同じ苗字を名乗ることができません。

苗字を変えなければ、子どもと同じ苗字を使い続けることができ、母親と苗字が違うことで、クラスメイトに親の離婚が知られるなど、子どもが学校で辛い思いをしなくてすみます。

〜クレジットカードや保険証、銀行口座、携帯電話など、離婚後に必要な氏名変更の手続きはとても面倒で、時間がかかります。その手間を省けるなら苗字を変えなくても良いと、思う方も多いのではないでしょうか。

②変えないデメリット

旧姓に戻るのが大変になる

離婚後に婚姻中の苗字を名乗り、しばらくしてから旧姓に戻る場合、家庭裁判所で「氏の変更許可申立」の手続きを行い、許可を得る必要があります。この手続きには「やむを得ない事由」が必要となるため、許可を得るためには、相応の理由が求められます。

再婚や、再度離婚をしたときも、簡単に旧姓に戻ることはできません。苗字を変えない「婚氏続称」を選ぶと、旧姓に戻るのが大変になってしまうのです。

元夫との関係を断ち切れない

離婚後も元夫の姓を使い続けると、どうしても元夫のことを思い出しやすくなります。頻繁に別れの辛さを思い出したり、夫の姓を名乗ることへの屈辱感を抱くこともあり、いつまでも元夫とのつながりを断ち切れない、と感じる可能性があります。

また、元夫やその家族が、別れた妻が自分の苗字を使い続けることに不快感を抱く可能性もあります。さらに、再婚した場合、新しいパートナーに負い目を感じたり、パートナーの気持ちに影響を与えたりすることも考えられます。

親族と違う苗字になる

苗字を変えないと、自分の家族や親せきと異なる苗字を使い続けることになります。親と同じ戸籍に戻れないため、親族とのつながりを感じにくくなるかもしれません。

また、亡くなった際に、宗派や墓地の規範によっては、苗字の異なる人を一緒に埋葬できない場合があるため、親族と同じお墓に入れない可能性があります。

〜離婚して新しい人生のスタートを切る際、苗字が婚姻中のままだと、まだ過去を引きずっているように感じ、すっきりけじめをつけて気持ちを切り替えるのが難しくなりそうですね。

離婚で苗字を変えるメリットとデメリット

次に、離婚で苗字を変える(旧姓に戻る)場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

①変えるメリット

気持ちを切り替えて新たなスタートが切れる

苗字を変更することで過去と決別し、新たな気持ちで次の人生のスタートを切ることができます。元夫とのしがらみや元夫への感情を断ち切り、痛みや苦しみから解放されて、新しい人生を前向きに歩いていくことができるでしょう。

家族や親族と同じ苗字に戻れる

苗字を旧姓に戻すことで、家族や親族と同じ苗字を名乗り、親の苗字を引き継ぐことができます。今後、親の苗字を代々守っていける可能性があり、亡くなった後も親族と同じお墓に入ることができます。

子どもがいない場合、復籍して親の戸籍に戻ることができるため、家族とのつながりを感じ、精神的にも安定する可能性があります。

元夫とその家族との関係にけじめがつけられる

元夫やその家族が、離婚後に元妻が家の苗字を名乗ることに抵抗を感じる場合があります。旧姓に戻ってけじめをつけることで、他人同士として割り切った関係に戻り、今後も元夫やその家族に余計な気を遣わなくてすみます。

~苗字を変えた場合、解放感や安心感といった精神的な充実感を得られる、というメリットがありますね

②変えるデメリット

面倒な変更手続きが必要になる

苗字を変えた場合、マイナンバーカード、クレジットカード、運転免許証など、さまざまな氏名変更手続きが必要になります。職場でも名刺の作り直しや、新しい名前の周知などの手間がかかり、とても面倒です。

さらに、新しい名前が定着して生活が落ち着くまでには、かなりの時間を要します。

離婚したことが周囲に知られる

苗字を変えたことが周囲に伝わると、多くの人が離婚の事実に気づく可能性があります。周囲の人から憶測されて不本意な噂を立てられたり、余計な気遣いをされたりすることも考えられます。

離婚したことが認知され、受け入れられるまでに時間がかかり、その間、心理的なストレスを感じることがあるでしょう。

子どもが辛い思いをする

母親が旧姓に戻ると、変更手続きをしない限り子どもの姓は父親の姓のままです。母親と姓が違うと、学校で親が離婚した事実をクラスメイトに知られてしまい、子どもが辛い思いをする可能性があります。

離婚後に母親が子どもを引き取った場合、子どもの姓を変えることで同じ戸籍にすることができます。子どもの姓が旧姓になると、学校での呼び名が変わり、親の離婚の事実を知られるため、子どもに心理的な負担をかけるおそれがあります。

~旧姓に戻ると離婚が明るみに出やすくなります。世間からの心理的な圧力に負けない、強い精神力が必要になりますね。

離婚で苗字を変更する手続きについて

①母親が離婚と同時に旧姓に戻す場合

結婚したときに旧姓から夫の苗字に変更していた場合、「離婚届」を提出することで旧姓に戻ります。

旧姓に戻したい場合は、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄の、「もとの戸籍にもどる」にチェックを入れてください。

ただし、再婚して離婚となり、苗字が、◎◎さん(旧姓)⇒〇〇さん(初婚時)⇒△△さん(再婚時)となっていた場合、◎◎さんに戻すには、家庭裁判所による許可が必要になります。

②母親が離婚後に苗字を変えなかったが、しばらくして旧姓に戻す場合

離婚後に婚姻中の苗字をそのまま名乗っていた人や、前述の、再婚して離婚となり、△△さんを名乗っていた人が、旧姓に戻す場合は、家庭裁判所で「氏の変更許可申立」の手続きをする必要があります。

「氏の変更許可申立」の手続きの仕方

家庭裁判所では、苗字を変更したい理由として「婚姻前の氏に戻したい。」場合を、「やむを得ない事由」として認めています。身勝手な理由や、社会的弊害が生じるおそれのある理由でない限り、認められる可能性が高いのです。

離婚後に旧姓に戻したい場合は、以下の手続きをしてください。

・「氏の変更許可申立書」に記入する

本人の本籍、住所、氏名、生年月日のほかに、やむを得ない理由を明記します。

手数料として、800円の収入印紙を申立書に貼り、連絡用の郵便切手1,500〜2,000円分(管轄の裁判所による)を用意します。

※申立書の記入例⇒裁判所

・戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を用意する

最新(発行から3ケ月以内)の戸籍謄本を用意します。管轄の裁判所、担当の裁判官によっては、生まれてから現在までのすべての戸籍謄本が必要になる場合があります。

・同意書

同じ戸籍に15歳以上の子どもがいる場合、その子供の同意書が必要になります。

子どもが15歳未満、結婚や分籍届などですでに親の戸籍から離れている場合は不要です。

以上の書類を、管轄の家庭裁判所に提出します。

申立後に裁判所の審査が始まり、戸籍の内容や、旧姓に戻すことが許可できない事情の有無などが、書面や面談で確認されます。

特に問題がなければ申立後2週間程度で、旧姓に戻すことを許可する審判書が、書留郵便で届きます。

許可審判書が届いて2週間経つと、旧姓に戻すことの許可が法律上でも確定し、確定証明書が裁判所から発行されます。

その後、氏の変更届、旧姓に戻すことの許可審判書謄本、確定証明書、最新の戸籍謄本などを揃えて、市区町村の戸籍窓口に提出します。

離婚で子どもの姓はどうなる?

婚姻中に父親の姓を名乗っていた場合、離婚すると原則として母親は旧姓に戻りますが、子どもの姓は父親の姓と同じままになります。

子どもの姓を母親と同じ旧姓に変えたい場合は、家庭裁判所で「子の氏の変更許可申立」を行う必要があります。

「子の氏の変更許可申立」の手続きの仕方

子の氏の変更許可申立書に記入する

親または本人(15歳以上の子どもの場合)の住所、氏名、生年月日のほかに、申し立ての理由を明記します。

手数料として、子ども一人につき800円の収入印紙を貼り、連絡用の郵便切手84〜600円分(管轄の裁判所による)を用意します。

※申立書の記入例(15歳未満)⇒裁判所 (15歳以上)⇒裁判所

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を用意する

最新(発行から3ケ月以内)の子どもの戸籍謄本と、父母の戸籍謄本が必要となります。子どもと親の戸籍が同じ場合は、1通で親子の戸籍を証明することができます。

同意書

入籍する戸籍に15歳以上の人(配偶者、子ども)がいる場合、その人の同意書が必要になります。

以上の書類を管轄の家庭裁判所に提出します。

申立後に裁判所の審査が始まります。子どもが未成年の場合、裁判所によっては、提出後数時間で窓口から許可審判書を受け取れる場合もありますが、通常は1〜2週間程度で、審判書が郵送で届きます。

子どもが成人している場合、裁判所の調査や面談が必要となり、許可審判書を受け取るまで1〜2か月かかる場合があります。

許可審判書受け取り後、入籍届、審判書謄本、最新の戸籍謄本などを揃えて、市区町村の戸籍窓口に提出します。

〜裁判所への必要書類の提出は、郵送でも受け付けてもらえます。直接出向くのが難しい場合は、ご利用ください。

まとめ

離婚後に苗字を変える場合と変えない場合のメリット・デメリットについてご紹介しました。

離婚後に苗字を変えない女性の割合は約30〜40%と考えられます。苗字を変えないと、離婚のことが知られにくく、都合が良い場合もありますが、心理的には過去を断ち切りにくく、いつまでも引きずってしまう可能性があります。

苗字を変えると、解放感が得られますが、離婚の事実が明るみになりやすく、世間の目に負けない精神力が必要になります。

子どもがいる場合、親の都合だけで離婚後の姓を決めることはできません。今後の新しい人生をどのように送っていきたいかをよく見据えて、離婚後の姓を選ぶようにしましょう。

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