私の離婚 Fさんの場合

私は2009年に結婚し、2019年に離婚しました。

私は父、母、姉の4人家族です。家族は仲が良く、経済的にも恵まれ、大学に進学し、医療系の資格を取得。その後は実家を離れ、医療機関へ就職しました。

夫は父、母、弟2人の5人家族です。私が就職した先の土地で出会い、職場結婚をしましたが、それが不運の始まりでした。

私が離婚を決意した理由

言葉も習慣も違う土地で友人もできず、一人寂しくしていたところに声をかけられ、付き合うようになりました。

夫も人付き合いが得意ではなく、変わり者のような評価をされていましたが、当時の私に優しくしてくれて、いい人という印象を持ちました。

ただ、ちょっとした時にすぐ怒ったり、目つきが変わったりするなど、違和感を感じていましたが、交際が2年を経過し、年齢も30歳近くなったことで気持ちが焦り、違和感を持ちながら2009年、結婚に踏み切ったのです。

結婚を決めた時、周囲は驚き、今更ながらやめておいたほうがいいと散々言われました。しかし、私は私にしかわからない彼の良さがあると信じ込み、押し通したのです。

結婚から3年、夫婦仲は平凡で時々軽い喧嘩をする程度で、生活に支障はありませんでした。

ただ、私の両親と夫の不仲が年を追うごとに深くなっていくことに非常に心苦しさを感じていました。理由は夫の自己肯定感の低さ、ネガティブ思考です。

正直学歴は私が上であり、家庭環境も私の家のほうが裕福でした。

私の家には男児がいなかったので、両親は結婚を喜んでくれて、結婚式の資金や引っ越し代等経済的に援助をしてくれました。それが、自分の給料が少ないから当てつけに援助してきている等、ことごとくネガティブに捉え、感情が一人歩きをし、両親を避けるようになりました。

両親も時間が解決するだろうと思い、私との行き来をなるべくしないよう我慢することにしたのです。互いの距離を保ちましたが、状況は一向に変わる様子はありませんでした。

結婚4年目で妊娠。

夫も子どもを望んでいたので、これから人生は良い方向へ向かうはず、そんな期待を持ちました。ただ一方で、私の両親との仲は変わらず、子どもが生まれたことでさらに忌み嫌うようになったのです。

私は1年間の育児休暇を取得し、自宅で慣れない育児に翻弄される日々。しかし、夫はお酒を控えることなく、毎晩350mlのビールを6本+α飲酒する毎日。もちろん泥酔するため育児にはまったく参加してもらえず、帰宅前に掃除も食事も赤ちゃんの入浴等すべてすませておかなければなりませんでした。

もし食事の準備ができていなかったら、一気に不機嫌になり鋭い視線でにらみつけられ、思い切り冷蔵庫や扉をしめたり、こちらを精神的に追い込んできます。また、夜中もできるだけ赤ちゃんを泣かさないよう、ぐずったらすぐに母乳を与えて本当に疲労困憊でした。

思いやりや優しさはなく、ただ私を家政婦扱いしているだけにすぎないのだと思いました。

そして、夫の浪費癖(たばこ、酒、趣味の高額な釣り道具等)が結婚しても止まらず、6万円もする釣り道具を相談なしに衝動的にカード決済したりと、私が働いて稼いでもそれが見る間に消えていくのです。

結婚後に100万以上の借金があったことが発覚し、私の貯金で完済して経験もあります。それでも結婚した以上は何とかしなきゃいけないという思い込みから、夫を見捨てようとはせず、肉体的にも精神的にも経済的にも苦しいと思いながら走りつづけました。

しかし、ある日を境にそれは終わりを告げたのです。

子どもが2歳になり、スーパーの屋上駐車場でぐずり始めました。あまりぐずるような子ではなかったので、非常に珍しいことでした。私はあやしましたが、なかなか泣き止まず、しだいに金切声に。抱っこもできないくらいの体動で、とうとう床に寝転がってしまったのです。

屋上ということで周囲に人はいませんでした。

すると、夫は何を思ったのか、鬼のような形相で

「うるせーんだよ! いいかげんにしろ! このやろう!」

2歳のこどもを怒鳴りつけ、寝転んでいる子どもを上から踏みつけたのです。ショックでした。確かに育児はストレスが溜まります。ですが、ほとんど育児に協力もせず、好き勝手に生きているのに、自分の子を怒鳴りつけて踏みつけるなんて行為は絶対に許せませんでした。

その後も私の言動が気に入らないと物を投げつけたり(実際にはあたらない微妙なところに投げる)、怒鳴り散らす、舌打ちや睨みつけなど精神的に追い込まれていきました。結婚=責任と考えていましたが、限界があります。これ以上一緒にいたら子どもに悪い影響があると考え、離婚に踏み切ったのです。

離婚を切り出した時の相手の反応

夫は非常に驚いていました。

私が離婚を切り出すわけがないと思っていたようです。あまりの非常識ぶりに呆れました。

私は冷静に、いえ、冷酷に夫を見据え、泣く事もなく淡々と今まで夫が私や家族にしてきたこと、今後人生を共に歩めない理由を伝えました。

その当時、酒量は多く、また、夫の両親も常識が欠落している言動が見受けられたため、アルコール依存の疑いで治療を受けた方がよいこと。夫の家庭環境に問題があることを伝えました。

いつものごとく怒鳴り、暴れて殴られることも覚悟していたため、子どもは私の姉に預け避難させていましたが、杞憂でした。

あれだけ虚勢をはっていた人間でしたが、私の話しを聞き、急にガタガタと体を震わし、泣き始めたのです。この日夫は自室に引きこもり、返事は後日するとのことで終わりました。

数日後、夫から話し合いがしたいとの申し出あり、子どもが寝てから話しました。

「離婚はしたくない。社会的に体裁が悪いから離婚するなと言われた。だから離婚しないでほしい」そういったのです。

私は愕然としました。あの時の震えは、家庭が壊れる恐ろしさではなく、両親から何と言われるか想像して震えていたにすぎないのです。

私と子どもに、愛情など微塵もないとはっきりわかりました。離婚の考えはかわらないこと、来週には不動産屋に行き、転居先をみつけ、来月にはこどもとでていくと宣告しました。それからは何の抵抗もなく離婚が成立したのです。

離婚を具体的にすすめた経緯や困難だったこと

離婚を切り出す前に、私の家族に結婚からこの10年までのことをすべて告白しました。家族全員がショックを受け、姉は夫に怒り、母は私を想って泣き、父は静かに「心配しないで頼りなさい」そう言ってくれたのです。

正直反対されると思いましたが、それはなく、家族の後押しと協力で離婚を乗り越えることができたのです。

それ以外には、離婚した場合、どのような手続きが必要なのかを調べました。弁護士などに頼ることができればよかったのですが、もめた時に介入してもらうこととし、まずは一人で手続きなどをすませられるように、とにかく情報を書き集めました。

経済的な面も大事です。私の場合、自分の給料があればなんとかこどもと暮らしていくには足りました。もともと節約志向の性格でもありますので、浪費する人間がいない状況であれば、支障はありません。

あとは、公正証書を作成したかったのですが、どうせ養育費は履行されないだろうと思ってました。書類作成のために何万もお金を払い、その労力をかける精神力は残っていませんでした。

離婚当時、夫名義で夫の借金があったので、その支払いは自分でしてもらうことにしてもらいました。それ以外に守ってもらうルールをこちらで決め、夫に渡しました。法的にはなんの根拠もありませんが、表題を『合意書』とし、いくつかのルールを決めたのです。

例えば、養育費は月額2万円支払う。離婚後は他人となるため、干渉はしない(当たり前のことですが、良識にかけるため、あえて記載したことが何点もありました)等々、A4用紙4ページに渡りました。夫に読んでもらい、夫の要望もほんの少しあったので付け加え、自筆サインと実印を押し、双方で保管しています。

この合意書のおかげかはわかりませんが、養育費以外はちゃんと守ってくれているので、無駄ではなかったかなと思います。

子どもはまだ幼かったこともあり、性格的にも楽観的で快活なため、環境が変わって不安定になるということはありませんでした。

離婚後、両親が地元を離れて引っ越してきてくれたため、今まであまり会うことができなかった孫に会う事が出来、楽しい時間をすごしているため、環境的には今の方がよかったと思っているそう。

私自身の変化としては、離婚を切り出す前は、精神的な面で不安が強かったですが、離婚すると決まったらストレスが減り、あとは前に進むだけという前向きな気持ちになりました。

夫には家を出ていく期限を伝えていましたので、それに間に合わせるためにひたすら動き回りました。良い大家さんの物件にあたり、引っ越し作業も大変ではありましたがなんとか乗り越えました。離婚は体力が非常に必要だと思います。

離婚を考えている人へ

子どもがいれば離婚はしづらいものです。私もそうでした。父親がいない環境は可哀想と決めつけていました。

しかし、暴力やハラスメントが横行する家庭で育つ子どもは本当に可哀想だと思います。様々な問題や弊害はあるかもしれませんが、離婚を考えて行動に移すことで、人生は変えられます。

離婚は大変ですが、その先に苦労を乗り越えただけの価値が存在すると思います。正直迷っているなら、何に迷っているのか、きちんと自分と向き合うべきです。

夫と死別するまで苦痛を味わい、我慢しつづけるのか、それを決めるのは自分自身です。

暴力があるなら決断は早い方がいい。経済的なことは行政に相談し、自分が該当する制度を知り、情報を得てください。

そして、働くために心身共に健康を維持し、自分を大切にしてください。

離婚は恥ずかしい事でも汚点でもありません。私と夫は共に生活し、歩んでいくことが難しかっただけです。10年という時はすべて悪であったわけではなく、子どもを授かることができ、結婚生活で得た忍耐や強さ、人の大切さ、自分を大事にすること等、あらゆることを知りました。

あなたが今、そこで苦しんでいるなら、もうそこに得られることはないと思います。あなたは自分を一番に大事にし、あなたを大切に扱ってくれる場所へ向かうべきだと思います。不安を消すには、行動を起こし、武器(情報や知識)を手に入れてください。幸運を願っています。

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