【必携】離婚の時のやることリスト女性編 子ありの場合も

離婚したい、と考えている方の中には、離婚に向けてどんな準備をして、いざ離婚を決めたら何をすべきなのか、見当がつかないという方もいるでしょう。

本記事では、離婚の前と離婚を決めてからやるべきことを、子どもの有無それぞれに対応した「やることリスト」としてご紹介します。

離婚する前にやることリスト 女性編

 

ここでは、離婚をする前に必ずやっておきたいことについて、こどものいない方、いる方、両方に共通するポイントをご紹介していきます。

子どものいる方が、さらにやるべきことについては最後の項でご紹介しますので、まずはこちらをお読みください。

Ⅰ 証拠を集める(夫に離婚原因がある場合)

浮気や不倫、モラハラ、DVなど、明らかに夫に原因がある場合は、その証拠をしっかり手に入れておくことが大切です。夫が離婚に同意せず、話し合いが離婚裁判に進んだ場合に、あなたの主張が認められ適切な慰謝料を得るためには、有力な証拠が必要となります。

1)浮気、不倫の証拠(肉体関係を裏付けるものが有利です)

写真や動画 夫と相手がホテルに出入りしている場面や、二人が互いの家を行き来しているシーンなど、宿泊をうかがわせる画像、動画など。
携帯やSNSの通信、通話内容 旅行など、二人で宿泊したことがうかがえる内容のLINEやメール。
夫や相手の発言の録音や書面 夫や相手が肉体関係を認める発言を録音したものや、不倫関係の反省文や謝罪文などの書面は証拠としての威力が高い。
領収書 ラブホテルの領収書。夫が誰かと肉体関係を持った証拠として有力だが、相手を特定できない、という弱点がある。

2)DVの証拠

写真や診断書 DVを受けて負ったケガの状態を撮った写真や、病院で治療を受けた時の診断書は信用性が高い証拠となる。医師にDVの事情を伝えておくことも有効。
DVの記録を残した日記 暴力や暴言などの詳しい内容を日記やメモに残しておくと、証拠として使える可能性がある。
DVを受けた時の録画・録音 暴力や暴言をしているシーンの録画や録音は有効な証拠となる。
警察や相談機関の相談記録 警察や相談機関に相談した時の、相談記録や相談カードなどの書面は有効な証拠となる。

自分で証拠を集めるとなると、夫に見つかる恐れや有力な証拠を効率よく集められない、などのリスクを伴います。 探偵や興信所への依頼も一つの方法ですが、相当な費用がかかるため、覚悟が必要です。

Ⅱ 共有の財産をチェックする

離婚の際は相手方に対し財産の分与を請求できることが法律で定められており(民法第768条1項、771条)、原則的に妻は夫婦共有の財産のうち2分の1を受け取ることができます。

しかし、いざ離婚を切り出すと夫が財産を隠すなどして、あなたの受け取り分が少なくなる可能性があります。

たとえ専業主婦であっても、財産の半分を受け取る権利はしっかり主張できるので、離婚を提案する前に、夫の財産について詳しく調べておき、必要があれば写真などで記録しておきましょう。

チェックする共有財産

現金・預貯金 婚姻中に貯めたお金は財産分与の対象になり、収入のない専業主婦にも分配される。
保険 婚姻中に加入した生命保険や学資保険の解約返戻金は、受取人が誰であるかに関わらず、財産分与の対象。
不動産 婚姻中に購入した家屋や土地などの不動産は、共有財産として認められ、財産分与の対象になる。
退職金 財産分与の対象になるが、支払予定の退職金については支払いが確実である証明が必要。
年金 厚生年金は「年金分割」という形で分配されるが、国民年金は分割の対象とはならない。
金銭的に価値があるもの 婚姻中に購入した家具、家財、自動車や貴金属、美術品などの、経済的に価値があるとみなされるもの。株式や有価証券も対象となる。

Ⅲ 別居もしくは離婚後の住まいを決めておく

夫からDVやモラハラを受けている場合は、早めに別居して被害から身を守り、落ち着いた上で離婚に向けた準備を勧めるのがおすすめです。

別居期間が長いと、離婚裁判で婚姻関係が破綻しているとみなされる場合があるため、性格の不一致など証明が難しい理由の場合も、離婚が認められる可能性が高くなります。

離婚後に住む場所を決めておくことはとても重要です。実家に戻る、親せきや友人宅に身を寄せるなどの方法もありますが、アパートを借りる場合は、引っ越し費用や保証人が必要となるため、早めに契約を結んでおきましょう。

~別居の際に引っ越しにかかる費用の相場は3〜6万円、アパートを借りる際の初期費用は家賃の4〜6カ月分、その他家具や家電を用意する費用、などが必要になります。50万円程度の出費を覚悟して、貯蓄など事前の準備をしておくとよいです。

Ⅳ 精神的・経済的な自立を目指す

生活費を夫の収入に頼っている専業主婦の場合は、離婚後の経済面の不安を乗り越え、自立の準備をする必要があります。社会的なつながりが増え、様々な場面で自分の主張をはっきり伝える強い意志が求められ、精神的な自立も必要となります。

離婚後の生活の安定のためには、経済的自立を計画的に進める必要があります。就職した場合、収入を得られるまでに2か月ほどかかることもあるため、貯蓄額などを考慮に入れて、離婚の前に就職先を決めるなど、経済面で困窮しないように準備することが大切です。

仕事探しのためにはアンテナを広く張って、ネットやハローワーク、知人の紹介などの情報を集め、積極的に可能性を広げていきましょう。

Ⅴ 離婚後の姓について考えておく

離婚後に旧姓に戻るか、婚姻中の姓(名字)をそのまま名乗るかを決めておきましょう。離婚後の姓は原則として旧姓に戻りますが、離婚から3ケ月以内に市区町村役場に「婚氏続姓届」を提出すれば、婚姻中の姓を引き続き名乗ることができます。

離婚後の子どもの姓(名字)についての手続きは、最後の項でご確認ください。

婚姻中の姓を選択した場合、しばらく経って旧姓に戻したいと思っても、自分の判断だけで変更することはできません。家庭裁判所に申し立てを行い、許可を得る必要があります。

簡単には戻せないので、将来を見据えて慎重に選ぶことが大切ですね。

Ⅵ 離婚の時期を決めておく

DVやモラハラなど、虐待を受けている場合は、すぐに別居や離婚をすべきですが、離婚までに時間をおく場合は、いつ離婚をするのかを決めておくと良いです。

女性は12月に離婚すると、税制上のメリットがあります。子どものいない方が受けられる「寡婦控除」や、子どものいる方のための「ひとり親控除」の基準日が12月31日となっているため、12月に離婚するとその年の1年分の所得に控除が適用されます。

夫や妻の就職や退職、子供の進学や就職などに合わせて、離婚のタイミングを決めると、スケジュールの調整がしやすいですね。

離婚を決めたらやることリスト 女性編

ここでは、離婚前の準備が整い、離婚の意思が決まったら、するべきことをご紹介していきます。

子どものいる方にも対応しています。

①夫の意思を確認する

協議離婚は、離婚の原因や理由がどのようなものでも、離婚の意思さえあれば成立します。離婚を決めたら、夫にその意思を伝え離婚に同意してもらうよう、話し合いをします。

夫に離婚を切り出す時は、なるべく冷静に話しかけ、相手に考える時間を与えるようにします。責めるような口調で相手を興奮させると、スムーズに同意を得られなくなってしまいます。強引に離婚を進めることは禁物です。相手の返事をゆっくり待ちましょう。

~離婚について話し出すと暴言や暴力をふるい、冷静な話し合いが無理な夫の場合は、親族や知人など、第三者に立ち会ってもらうことをおすすめします。

②離婚条件を話し合い協議離婚に進む

夫が離婚に同意したら、財産分与、慰謝料、年金、通知義務(離婚後の住所など)などの離婚条件について、双方でじっくり検討し、納得のゆくまで協議します。

協議の結果、双方が納得したら、念のため離婚条件の権利や義務についてまとめた内容を「離婚協議書」もしくは「公正証書」として残しておくと、離婚後のトラブル防止に役立ちます。

〜公正証書の作成は離婚手続きで必須ではありませんが、公正証書があると、離婚後にお金の支払いの契約が守られなかったときに、裁判をせずに相手の給料や預金の差し押さえなどの強制執行が可能となります。

※離婚調停と裁判

双方が話し合いで納得できず、協議がまとまらない場合は、離婚調停や裁判に進みます。集めておいた夫の不倫やDVの証拠は、調停や裁判を優位に進めるために役立つ可能性があります。

調停離婚 家庭裁判所において、調停委員の仲介のもと、調停手続きを利用して話し合い、離婚を成立させる方法。
裁判離婚 調停で夫婦間で合意できない場合に、裁判所の判決により、強制的に離婚を成立させる方法。

③お金について確認をする

<財産分与>

婚姻中の預貯金や不動産、家財道具などの財産は、離婚時に名義を問わず2分の1に分配されます。預貯金や不動産、車などの名義変更の手続きが必要となります。

<慰謝料>

不倫や浮気、DVなど、離婚の原因が夫にある場合、原因を作り出した夫への慰謝料請求が認められる可能性があります。夫が原因を認めない場合、慰謝料の請求に証拠が必要となりますので、前述のように有力な証拠を集めておくことが大切です。

<年金分割>

婚姻中に納付した厚生年金の納付記録は離婚後に分割することができます。ただし婚姻中に国民年金のみに加入していた場合は、手続きの必要はありません。将来の受取金額に影響があるため、確認しておきましょう。

<婚姻費用>

民法では夫婦は互いに扶助する義務があると決められています。離婚する前に別居をしたが、専業主婦で収入がない、働いているが収入が足りないなどの場合は、夫に対し、離婚が成立するまでの生活費を請求することができます。

婚姻費用を試算できる「婚姻費用算定表」で自分のケースについて確認しておきましょう。

婚姻費用算定表(裁判所公表資料)

④離婚後の手続きの準備をする

離婚後には多くの手続きが必要になります。離婚届を提出する前に、手続きのリストを作って準備しておくと、やるべきことが整理でき、いざとなった時に慌てずに対応できます。

離婚後に必要な手続き(自分に該当するものをチェックしておきましょう)

世帯主の変更・住民票異動届の提出
健康保険の変更手続き
年金の変更手続き
印鑑登録の変更
免許証の書き換え
年金分割の手続き
パスポートの書き換え
銀行口座の名義変更
各種カードの住所名義変更
郵送物の転送手続き
不動産や自動車の名義に関する手続き

⑤離婚届を提出する

離婚届を役所の窓口もしくはインターネットのダウンロードで手に入れます。離婚届には証人2名の署名が必要となるので、お願いできる人を見つけましょう。18歳以上の成人であれば、誰でも署名できます。

離婚届は本籍地または住所地の役所に提出しますが、本籍地以外の役所に提出する場合は、戸籍謄本が必要となるため、郵送などで取り寄せておきます。

MEMO
離婚届は証人の署名がないと受理されません。頼む人がいない場合は行政書士などの証人代行サービスを利用する方法があります。

離婚を決めたらやることリスト 子ありの場合

子どものいる方が離婚を決めたら、離婚届を提出するまでにさらに多くの準備や手続きが必要となります。

離婚後の生活が困窮しないように、準備しておくべきポイントをご紹介します。

①親権を決める

離婚後は父母のどちらか一方が親権者になる必要があり、親権者は子供の住む場所を決めることができます。子供の幸せのために、どちらが親権者になるのがよいのか、精神的、経済的な現状や将来の見通しなどを考慮に入れて、慎重に決めます。

親権をめぐる話し合いが調停や裁判にまで進む可能性もあります。親権者になりたい場合、親権者としてふさわしい条件を満たす必要があるため、親権者になれる可能性や必要な条件について、事前によく調べておきましょう。

〜調停や裁判では、子どもの養育に必要な体力や精神力、生活力などが問われます。これまでの養育実績や、離婚後の生活の見通し、子どもの年齢や意向、子どもとの関係性などが判断の基準となります。

②養育費を決める

養育費は子どもが社会的、経済的に自立するまでにかかる費用で、金額や支払い方法は夫婦の経済力を考慮しながら、話し合いで自由に決めることができます。

自分が親権者となった場合でも、元夫に養育費を請求できます。家庭裁判所による「養育費算定表」などを参考にすると、自分のケースに合った養育費の相場が試算できるので、調べておきましょう。

養育費算定表(裁判所公表資料)

養育費については、離婚後の生活を考慮に入れて、適切な金額を請求することが大切です。

万が一、夫が支払いを滞らせた場合のために、離婚公正証書に「強制執行認諾文言」を記載しておくと、裁判手続きをせずに支払いを強制執行することができます。

③面会の取り決めをする

離婚後子どもと離れて暮らす親も、子どもと定期的、継続的に会って交流をする権利があります。親権を元夫に譲った場合も定期的に子どもに会えるように、交流の方法や頻度などについて話し合い、具体的な計画を立てておくことをおすすめします。

面会の可否や方法などについて話し合いがまとまらない場合に、申し立てをすると調停や裁判などで面会交流の内容が検討され、判断が下されます。

④仕事を探す

子どものいない方と同様に、専業主婦だった方は、仕事に就いて経済的自立を目指す必要があります。シングルマザーの場合、長時間の勤務や正規雇用が難しいことが多く、十分な収入を得にくいのが現状です。

ひとり親が受けられる公的な手当や助成金にはさまざまなものがあります。子どもの年齢に応じた児童手当や、住宅や医療費の手当て、生活保護などを活用して子どもを育てやすい、安定した生活環境を確保しましょう。

婚姻中に児童手当を受給している場合は、離婚後に子どもと住民票上で同居している親が受給者となるための、変更手続きをする必要があります。

ひとり親が受けられる児童手当・助成金

児童手当 0歳から中学卒業までの子どもを養育している人に支給される。子どもの年齢によって支給金額が変わる。
児童扶養手当 ひとり親世帯で養育される子ども(高校卒業まで(障害のある子どもの場合は20歳未満))の生活の安定のために支給される。親の所得によって全額支給か一部支給、または不支給かが決まる。
児童育成手当 高校卒業までの子ども(障害のある子どもの場合は20歳未満)を養育しているひとり親家庭に支給される。
生活保護 生活が困窮している人に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障し自立をサポートするための制度。援助してくれる人がいないことや資産を一切持っていないことなど細かい受給条件が定められている。

扶助内容には、生活・住宅・教育・医療・介護・出産・生業・葬祭扶助があり、受給金額は住んでいるエリアや収入、家族構成などにより異なる。

ひとり親家庭住宅手当 ひとり親世帯で18歳もしくは20歳未満の子どもを養育している人が受けられる。家賃の一部を補助してもらうことができる。自治体によって制度がないところもあり、自治体により手当金額が異なる。
ひとり親家族等医療費助成制度 高校卒業までの子ども(障害を持っている場合は20歳未満)を養育しているひとり親が受けられる。親や子どもが医療機関の窓口で支払う医療費の自己負担分を自治体が助成する。親の所得が限度額以上の場合は不支給となる。助成内容は自治体によって異なる。
乳幼児や義務教育就学児の医療費制度 子どもが医療機関を受診した際に支払う医療費のうち、自己負担分を助成してくれる。

幼稚園児や保育園児は「乳幼児医療費助成制度(マル乳)」、小学1年生から中学3年生の子どもは「義務教育就学児医療費助成制度(マル子)」が適用される。

自治体によって制度のないところもあり、自治体によって子どもの対象年齢や親の所得制限などが異なる。

特別児童扶養手当 障害のある子どもの福祉増進を図るために、20歳未満の障害児を養育している親に支給される。
障害児福祉手当 20歳未満の重度の障害のある子どもを養育している親などが受け取れる。

⑤お金について準備する

<財産分与>

婚姻中の預貯金や不動産、家財道具などの財産は、離婚時に名義を問わず2分の1に分配されます。預貯金や不動産、車などの名義変更の手続きが必要となります。

<慰謝料>

不倫や浮気、DVなど、離婚の原因が夫にある場合、原因を作り出した夫への慰謝料請求が認められる可能性があります。夫が原因を認めない場合、慰謝料の請求に証拠が必要となりますので、前述のように有力な証拠を集めておくことが大切です。

<年金分割>

婚姻中に納付した厚生年金の納付記録は離婚後に分割することができます。ただし婚姻中に国民年金のみに加入していた場合は、手続きの必要はありません。将来の受取金額に影響があるため、確認しておきましょう。

<婚姻費用>

民法では夫婦は互いに扶助する義務があると決められています。離婚する前に別居をしたが、専業主婦で収入がない、働いているが収入が足りないなどの場合は、夫に対し、離婚が成立するまでの生活費を請求することができます。

婚姻費用を試算できる「婚姻費用算定表」で自分のケースについて確認しておきましょう。

婚姻費用算定表(裁判所公表資料)

⑥子どもの名字を考える

離婚届を提出すると、夫婦の戸籍は分かれ、妻は旧姓に戻りますが、子どもの姓と戸籍は婚姻していた時のままになります。離婚後の子どもの姓をどうするか考え、変更する場合に必要な手続きについて確認しておきましょう。

子どもの姓を変更するには、家庭裁判所に「子の氏の変更申し立て」を行い、許可が降りたら、本籍地または住所地で戸籍の入籍届をする手続きが必要です。

〜離婚後に旧姓に戻らず、婚姻中の名字をそのまま名乗り続けたい場合は、離婚日から3カ月以内に「戸籍法77条の2の届」を提出します。離婚届と一緒に出すことが可能です。

⑦学校について調べる

母親の離婚に伴う引っ越しで、子どもの転校が必要となる場合は、引っ越し先の近辺に子どもが通える学校や、保育所、幼稚園などがあるか確認し、転居先を決めるようにします。

〜待機児童が多い地域では保育所に入るのが難しいですね。転居先の近くの保育所に、転入できるか、転入できる場合の手続き、などについても調べておくことをおすすめします。

まとめ

離婚に向けてやるべきことはとても多く、いざ手をつけ始めるとやることの多さに圧倒されてしまいます。

一つずつクリアしていく過程は、精神的にも大きな負担となり、子どものいる方はなおさらです。

やるべきことをスムーズに進めていくために、必要なことをリスト化しチェックしておくと、気持ちの負担が軽くなり、見落としや忘れることも防げます。

リストを頼りに積極的に行動して、離婚後の新たな人生のスタートを切りましょう。

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