上司や同僚に祝福されて結婚したのに、何年か経って離婚となった場合、職場結婚でない限り、できれば会社には積極的に知らせたくないものですよね。
ここでは、離婚したことを会社に言わないメリットとデメリットについて深堀りしてみました。
離婚を会社に言わない方がいい?言った方がいい?
会社員が離婚した場合、法律上はその事実を会社に報告する義務はありません。
会社に言うのは気が重い、周囲に知られたくないなどの理由から離婚の事実を秘密にしておくと、周囲からの心理的なプレッシャーを感じずにすむ、というメリットがあります。
しかし、会社への離婚の報告を怠った場合、社会保険や福利厚生などの手続きにおいて問題が生じるデメリットがあります。
トラブルを避けるためには、伝えるタイミングや内容についてよく確認したうえで、事実を報告することをおすすめします。
離婚を会社に言わないメリット
まずは、会社に言わない場合のメリットからお伝えします。
メリット① 周囲に気を遣わせなくてすむ
一般に離婚はネガティブな出来事なので、多くの人は本人を傷つけないように配慮しますが、さりげない気遣いをしてくれる人ばかりではありません。
中には気を遣い過ぎて、あからさまに家庭の話題を避けて対応してくる人もいるかもしれません。そんな時は、言わない方が良かったかも、と思うこともありますよね。
離婚について伝えないと、周囲の人に余計な気を遣わせなくてすむ、というメリットはあります。
メリット② 余計な詮索をされない
どこにいても、他人のプライバシーを詮索したがる人はいますし、身近に思い当たる人がいるかもしれません。
離婚を伝えると、そういう人がここぞとばかりにぶしつけな質問をしてくる可能性があります。デリケートな話題なので、上手く対応するのにとても神経を使うことになります。
離婚について言わなければ、余計な詮索を避けられる、というメリットがあります。
メリット③ 噂の的にならない
結婚の際も、ある程度周囲には噂が広まったでしょう。一方、人は内心で、他人の苦労を多少喜んでしまう傾向もあります。
離婚というネガティブな話題は、結婚の時以上に、スピーディに拡散する可能性があるため、直接的な害がないとしても、噂が収まるまでしばらく待つ必要があります。
離婚したことを周囲に話さなければ、噂の的にならなくてすむ、というメリットがあります。
職場で離婚を伝えない選択をすると、心理的なストレスを避けられる可能性があります。パートやアルバイト、契約社員など、有期契約で働いている場合は、離婚の事実を隠していても、それほど問題は起きないかもしれません。
離婚を会社に言わないデメリット
正社員の場合、上司や同僚とは長く関わっていく必要があり、離婚の事実をずっと隠し続けることは、精神的な負担になる可能性があります。
離婚について周囲に伝えるかどうかは、周囲の状況をよく見て決めることをおすすめします。
ここでは、離婚を会社に言わない場合のデメリットについてお伝えします。
デメリット① 社内の手続きに影響する
プライベートな事情は会社に知られたくない、などの理由から、離婚の事実を会社に報告しないままにしていると、社会保険などの手続きが必要になった際に離婚していることが明らかになり、問題が生じるデメリットがあります。
離婚したら会社で行うべき手続きには次のようなものがあります。
1)住所の変更
別居などで住所が変わる場合、住所の変更に伴う通勤手当や定期券などの変更が必要となります。
2)苗字の変更
離婚後に旧姓に戻るなど苗字を変更する場合には、社会保険や雇用保険での氏名変更手続きが必要となります。社内の書類や名刺、社員証などの書き直しも必要となるため、必ず報告してください。
離婚後、3カ月以内に役所に届け出れば、婚姻時の苗字をそのまま名乗ることができ、それを認めている企業もあります。しかし、社会保険・労働保険や税金などの書類では、通称(婚姻時の姓を名乗ること)を使うことはできないため、注意が必要です。
3)給与受取口座の名義変更
苗字が変わる場合、給与受取口座の名義変更も必要です。会社での変更手続きの前に金融機関で名義変更をしておきましょう。
4)扶養家族の変更
離婚前に配偶者(妻や夫)を扶養していて「配偶者控除」を受けていた人は、離婚するとその控除が受けられなくなります。さらに、子どもの「扶養控除」を利用していた場合、離婚により子供の親権を失うとその控除も受けられなくなります。
扶養家族の有無や人数は、社会保険の控除だけでなく厚生年金などにも影響します。子どもが新たに扶養に入る場合も含め、変更手続きはできるだけ早く行いましょう。
5)家族手当の停止手続き
企業によっては、福利厚生として家族手当を支給している場合があります。離婚の報告をせずに家族手当を受給し続けると不正受給となり、発覚すると懲戒処分などを受ける可能性もあります。早めに資格解除の申告をすることが必要です。
6)寡婦控除やひとり親控除の手続き
年間所得が500万円以下の会社員が離婚しその後再婚しない場合、一定の条件を満たせば、寡婦控除やひとり親控除が受けられる可能性があります。これらの控除を受けるためには、年末調整時に「扶養控除等(異動)申告書」に必要な情報を記入してください。
デメリット② 年末調整で離婚が発覚する
夫婦が共働きで「配偶者控除」を受けていない、子どもがいないため「扶養控除」を受けていない、さらに離婚後に指名を変えない、などの場合は、年末調整時に提出する「扶養控除等(異動)申告書」の記載内容を変更する必要がありません。
そのため、もともとこれらの控除を受けていなかった人が、書類手続きの関係で離婚がばれない可能性はあります。
しかし、年末調整時の源泉徴収票などには配偶者について記載する欄があり、また、女性の場合、離婚後に寡婦控除を申請する可能性もあるため、予期せぬきっかけで離婚の事実が明らかになることがあります。
「配偶者控除」や「扶養控除」を受けていた場合や、離婚後に苗字が変わった場合は、年末の「扶養控除(異動)申告書」の記載内容が婚姻中のものから変更になるため、年末調整を担当する部署から問い合わせなどが入り、離婚の事実がばれる可能性があります。
職場での離婚の報告は必要である、という考え方が一般的です。報告を怠ったことで後から離婚の事実が発覚したような場合、上司や同僚などからの信用を失いかねません。
デメリット③ 処分を受けることがある
会社によっては、戸籍に変更があったことを届け出ることが、就業規則で決められている場合があります。離婚について報告しないと、就業規則違反として戒告などの処分が下されることがあります。
デメリット④ ひとり親としては望ましくない配置転換などが起こる
離婚の事実や、一人で子育てしている現状等を隠していると、会社はそれを知らないため、有能な貴方を激務地へと配置転換してしまうことがあるかもしれません。
会社に知らせないと、望ましくない業務指示や人事異動が生じることがあります。
離婚を報告するタイミング
離婚の報告は気の重いものですが、社内の手続きをスムーズに進めるためには、先延ばしにせず、できるだけ早いタイミングで報告した方が良いでしょう。
まだ離婚の時期が決まっていないうちに伝えると混乱を招く可能性もあるため、具体的な時期が決まったら、まず直属の上司と人事総務関連の担当者に、速やかに連絡することをおすすめします。
結婚を祝ってくれた上司や同僚、家族ぐるみの付き合いがある親しい同僚などにも、隠さずに早めに知らせておくと、心理的な負担が軽くなります。
今や3組に1組が離婚する時代ですから、社内にだって離婚経験者はある程度いるはずです。
躊躇しないで報告してしまいましょう。
まとめ
会社員が離婚した場合、事務手続き上どうしても会社に報告が必要になります。
離婚を周囲に知られたくなければ、当面、報告は上司や事務手続きの担当者だけにして、職場の人たちには秘密にしておくこともできます。しかし、隠し続ける心理的負担は、結構重いものです。
職場で離婚をカミングアウトする際は、詳しい事情まで伝える必要はありません。安心して働き続けるためには、新たな人生への前向きな気持ちを強調し、誠実に仕事に取り組む姿勢を周囲に示すことが大切です。
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